【SNS(ソーシャル・ネットワーキング・システム)】

(2006.9.2筆/2006.10.22追記)
  元々の始まりはある大学で学生同士の交流を図るために作られた自己紹介のためのサイトです。同じような趣味の人を探したり連絡を取るための、コミュニケーションをサポートするツールとして始まったのです。
  恐らくこれがスタンフォード大学の卒業生が作ったというFrendsterの原型だったのではと思います。細部は覚えていませんが、TVで紹介されたときには、他の大学へこのツールが利用され、地域のコミュニケーションツールとしても活用が始まったという段階でした。
  その仕組みが発展し、友達同士をつないでいくという、人脈構築のためのツールとなったのがSNS(ソーシャル・ネットワーキング・システム)なのです。
  最初は何かの団体か募集した人を集めるところから始まります。その後は、会員が紹介状を発行し、紹介された人だけが会員として加入することができます。こうすることで、会員同士の人脈がつながっていきます。
  元々限定されたコミュニティですが、更に加入条件や目的を統一したSNSも登場して、細分化されたコミュニティが形成されています。
  大人数の会員を抱えたポータルサイトも次々とSNSを導入しており、紹介も不要になり人脈よりも趣味を同じくする人を探すための出会いのツールとなっています。
  コミュニケーションのポータルサイトとも言えるSNSは、その目的に応じてターゲットを絞り込み、広告やアフィリエイトを取り込んで商業的な実験場にもなっています。

  多くの人が集まるためSNSにもスパムやウイルスの配布が行われます。FlashやJavaScriptを悪用してウイルスに感染させる手法もありますので、閉鎖された空間だと思って安心してはいけません。

 最も有名なSNSサービスであるmixiにおいて、個人情報漏洩事件が発生しました。原因はP2Pソフトウェアの利用によるウイルスの感染に始まり、PC内部のファイルが大量に流出しのです。その流出情報からSNSの利用が判明し、本名による登録をしていたがために、SNSの友達関係にプライバシーを暴露するという事件に発展したのです。
  mixiは株式公開直後のことで、かなり敏感に反応を示しました。
  1つは、暴露に関わった者の処罰としてアカウント剥奪(アカBAN)を行いました。しかし、そのときに友達として登録していた他のアカウントも巻き添えにして芋づる式にアカウントの消去を行ったのです。それに反抗した人たちが、偽のアカウントで会員になり、友達を作っては規約違反行為を行い、無関係な人々を巻き添えにするという事態に発展しました。これは手軽に友達になれる雰囲気を逆手に取ったシステムの弱点を暴露したとも言えます。
  もう1つ。人間関係を築くのがSNSの本来の目的ですから、本名での登録が推奨されてきました。ところが、事件後には実名では登録しないように方針が変わってしまったのです。ネットでのプライバシー開示の怖さがパニックを引き起こす可能性があったからかもしれません。しかし、この時点でパニックになっていたのはmixi自身だと思われます。丁度、連日大幅に株価が下がっていた時期でもあります。
  実のところ、本名で登録している人は少ないように感じられます。私の母校のコミュニティを覗いてみましたが、20人ほどいて、本名らしい人は一人だけでした。
  mixiにとっては、対岸の火事が飛び火して対岸より炎上したというところでしょうか。もちろん、被害者は利用者なのですが、利用者に直接注意を呼びかけることはされておらず、密かに規約が書き換えられ、怪しい人とその関係者らしいというだけで抹殺されるコミュニティなんて、それこそ無法地帯の土壌だと感じます。


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