インスタント・メッセンジャー


〜目次〜
  1. インスタント・メッセンジャーとは?
  2. インスタント・メッセンジャーの使い方
  3. 問題点
  4. 事例

  1. インスタント・メッセンジャーとは

     昔はページャーと呼ばれていました。インスタント・メッセンジャーは単にIM(Instant Messanger)と表記されることもあります。その名の通り即座にメッセージを届けるツールです。
     電子メールに似ていますが、仕組みが全く違います。メールでは、メールソフトを使い逐次メールボックスをチェックしてメッセージを受け取りますが、IMは直接相手のパソコンで動いているIMに対してメッセージを送ることができるのです。どちらかというと電話に近いものです。
     基本的な使い方はチャットに近いのですが、チャットは1対不特定多数ですが、IMは特定の人と1対1の通信をします。また、通信ですから、音声、映像、ファイルなども送れるように機能が拡張されて来ています。

     このIMという分野を開拓したのが、米ミラビリス社のICQというソフトです。当時は「非常に見栄えの悪いサイトNo.1」という称号を2年連続で与えられていました。現在はAOL(アメリカ・オンライン)の傘下に入っています。
      AOLもまた独自にIMを開発し、このときにAOL Instant Messangerと命名して、IMの名称が広まりました。またマイクロソフトのMSNヤフー も独自のIMを配布しています。

     IMにもいくつかの種類があるのですが、重要なのは同じIMを使っていないとメッセージの送受信ができないという点です。
     各社のサービスはそれぞれ独自のもので、まだ統一された規格がありません。現在(2004.8)、各社で相互乗り入れの企画検討が始まったところです。

     それではICQを例に概要を説明します。
     ICQを起動すると画面にはコンタクトリストが表示されます。メールアドレスのようなICQ番号を最初に取得します。メッセージはこの識別番号を使って送られます。
     コンタクトリストには相手の名前と相手のICQ番号、そしてステータス(状況)が表示されます。このリストが面白いのは、相手がICQを起動しているとその状況が分かるという点です。また、メッセージを受信した場合に自動的に相手が登録されるようにもなっています。
     メッセージはリストにない人でICQ番号を持っている人や、ICQを起動していない人にも送ることができます。この点はメールと同じです。
     ICQを起動していると、相手の様子がコンタクトリストを通じてしることができるので、同じ場所にいるような錯覚さえ覚えます。そして、いつでも相手にメッセージを送ることができて、いつでも相手からメッセージを受けることができるのです。

  2. インスタント・メッセンジャーの使い方

     IMは文字で会話を行います。チャットに非常に近いのですが、電話のように1対1の会話であることが大きな違いです。

     【登録】
      ICQの場合、最初に自分の登録番号を取ります。ICQを動かして、名前やハンドル、メールアドレスなどを書き込みます。この時、不必要に個人情報を書かないようにしましょう。
     実際にはハンドルくらいだけで番号を取得できます。実名やメールアドレス、住所などを登録すると相手にその情報が漏れることになります。
     次に相手の登録番号、ハンドル、メールアドレスのどれかを使って検索を行い、コンタクトリストに相手を登録していきます。
     リストに登録した人がICQを動かすと、あなたのコンタクトリストにステータスが「Offline」から「Online」に変わった相手の名前が出てきます。
     もちろん、相手のリストにもあなたの名前が表示され、相手はいつでもあなたの登録したプロファイルを見ることができます。

     【メッセージの送信】
     リストにある相手の名前をダブルクリックすると、メッセージを書き込むためのダイヤログが開きます。
     そこに文章を入力し、送信ボタンを押せば、相手にメッセージが送られます。
     もし、相手がICQを起動していない場合は、ICQを管理しているサーバーにメッセージが保管されます。

     【メッセージの受信】
      メッセージが送られてくると、あなたのICQがメッセージの到着をお知らせします。
     リストの相手の名前をクリックしてメッセージを受信します。受信と同時にメッセージを表示するように設定することもできます。

     【データの管理】
     ICQなどIMには、必ずユーザーを管理するサーバーが必要です。もちろん、それはサービスを提供する側が運営しています。ICQなど一般のIMは無料でそれを利用していることになります。
     管理サーバーでは、次のようなデータを保管しています。

    • 登録ユーザーの情報・・・個人情報はプロファイルとしてユーザーが自分で入力したものが記録されています。この登録情報は誰もが見ることができるものですから、不要な部分は記入しないようにしましょう。
    • ユーザーのステータス・・・ユーザーが現在「Online」か「Offline」なのか。これにより、相手に自動的にステータスが通知されます。
    • 各メッセージ・・・送信したメッセージは一度管理サーバーに送られ、そこから相手に送信されます。そのため相手が受信できないときはメッセージを預かって、相手が「Online」になった時点でメッセージを送信してくれます。
  3. 問題点

     基本的に友達同士で話をすることが多いので、メッセージのやりとりに余計な気遣いは不要でしょう。
     しかし、話しかけてくるのは必ずしも友達ばかりではありません。
     相手はハンドル名やメールアドレスを手がかりにあなたを探し当てます。
     ICQでも、突然知らない人からメッセージが舞い込むことがあります。間違い電話のようなものの場合もあるでしょうが、どこかであなたのことを知った人からかも知れません。
     メールのように気軽に使うのもいいのですが、問題はストーカー行為です。

     一度でもメッセージを受け取ると、次からお互いのリストに名前が表示されます。すると、いつでもあなたがICQを始めたときに相手はあなたがそこにいることに気付くのです。
     ストーカー行為はメッセージを送るだけですが、個人情報の内容をすべて知られるため慌ててリストから削除しても間に合いません。そこからエスカレートすることも考えられます。
     事前に防御する方法としては、個人情報を詳しく書かないということですが、許可を与えた人だけをリストに表示することもできます。
     とにかくも、迂闊に相手を信じ込み個人情報を教えないことが重要です。

     ICQで、プライバシーモードにすると、あなたは常に「Offline」として相手に表示されます。ただし、メッセージを受信すると「Online」としてその相手にだけ見えるようになります。
     Win版にはプライバシーの可視モードがあり、メッセージを送らなくても特定の相手にだけ自分がいることを教えることができます。

     とにかく、嫌な相手はリストから削除することです。
     また、登録番号を取り直すこともできますが、同じハンドル名やメールアドレスを登録するとすぐに相手に探されてしまいます。

  4. 事例

     Sさん(女性)の場合:
     コンタクトを取ってきた相手が、てっきりネット上のどこかで知り合った人だと思って、電話番号など教えてしまった。
     しばらく話をしてから不審に思って尋ねたところ、BBSやチャットで知り合った人ではないことが分かった。
     それから常に話かけてくるようになり、個人情報を詳しく登録していたため職場を知られてしまうことになる。
     毎日のように携帯電話もかかるようになったため、職場の男性に怒ってもらうが、さらにエスカレート。今度は相手も脅し文句を送ってくるようになる。
     最終的に相手の所在を突き止めることができ、妻も子どももあることが分かったため、その事実に相手は引き下がったようだった。
     しかし、この後、さらに別の問題が起こった。
     どうも、掲示板にSさんの名前でICQの番号が公表されたらしく、毎日数十人からコンタクトが来るようになる。彼女の名前を使って男性を誘ったらしい。
     結局、その掲示板を突き止めて、管理者に削除をしてもらって解決をしたが、もしかすると、また同じことの繰り返しになったかもしれない。

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