(2004.6.11筆)
もはやインターネットの是非を言う必要はないでしょう。ネットには有益な情報と同じくらいに有害な情報があります。大人には有益でも子どもには有害なものもあります。
アメリカでは、図書館のパソコンから自由にネットが使えると、子どもたちが有害なサイトを利用してしまうため、これを制限すると決めました。しかし、図書館から表現の自由を制限するのは、憲法に違反するという論争が起こり制限はされませんでした。
このように表現の自由との絡みがあるものの、テレビや映画などで有害情報のレイティングを厳しくやっているのもアメリカです。日本でも昨今は映画にレイティングが導入されています。
有害情報の代表は、暴力、性描写で、有害な言葉もあります。ブラウザのInternet Explorerには、これらのフィルタリング(情報の選別)をする機能が用意されているくらいです。
また、はっきりした指標はなく、全てのネットの利用においてレイティングが定まっている訳ではありません。まだまだ、利用者や管理者が個人的に設定しなければ機能しない段階と言えます。文章や写真、イラスト、映像などのメディアを見ることによって与えられる有害情報以外にも多くの危険があります。それの元凶は人間なのです。
もっとも問題になっているのは、児童ポルノです。子どもを性的趣味の対象とした商品や情報を大人が得ることも犯罪なのです。日本では、大人だけでなく、そのような行為に誘った子どもにも罰則が与えられる法律ができました。
「出会い系サイト」という男女が出会う目的のサイトが色々と問題を起こしています。健全なモノもあるかも知れませんが、売春の温床になっているとも言われています。そこに子どもが自由に出入りできるとしたら、親としては放っては置けません。また、通常の掲示板やメールの利用であっても、安全とは言えず。子どもが作ったHPに、どこの誰が来るかは分からないのです。子ども同士の喧嘩が、殺人事件になったケースもあります。趣味の話から会うことになり、出会ってみたら子どもをだます大人だったりということもあるのです。危険はどこにでもあると考えないといけません。どこまで親がやるべきかという問題もありますが、まず、何ができるかを考えていきたいと思います。
(2004.6.13筆)
【OSのユーザー設定】
WindowsマシンやMacintoshでは、電源を入れるとWindowsXPやMacOSというOS(オペレイティングシステム)が最初に起動します。この起動時にユーザー名とパスワードを設定することができます。これは自分自身のデータを守る手段として使うだけでなく、子どもには子どもの環境を与えるという使い方に適しています。
起動すると、まずユーザー(利用者)の一覧が表示され、そこから自分の名前を選択し、パスワードを入力します。これで、そのユーザーはOSの利用を許可されるという仕組みです。
ただ、それだけではありません。ユーザーを個別に判別することによって、プライバシーを守ったり、使用できる機能を制限したりすることができます。
これは、一台のパソコンを複数で使用する場合に特に有効ですが、一人一台であったとしても、パスワードは設定しましょう。ユーザー設定を行うことによってできることとその利点は以下のようなものです。
●ブラウザのブックマークには、個人のプライベートなアクセス先も含まれています。もちろん、履歴にもです。こういうものを家族と共有する気があるのならかまいませんが、そうでないならばOSの使用環境を区分けすることができます。
●メールについては、1つのソフトでユーザーを切り換える機能がメールソフト自身に付いてることもありますが、それはあくまでメールの内容だけの保護になります。ユーザー設定をすることにより、メールソフトそのものを使えなくすることができます。
●ユーザー毎に個人のフォルダ(マイドキュメントなど)が作成され、お互いのプライバシーを保つことができます。他人のデータをのぞき見ることができなくなるということですが、そのパソコンの管理者には、全てを見る権限があることは忘れてはいけません。
●ユーザー設定では、ユーザーのOS上の権限を決めることができます。これによって、子どもに使わせたくないソフトを使えないようにしたり、新しくインストールできなくしたり、個人フォルダ以外のファイルを削除できないようにしたりと、様々な制限が行えます。これによって、親のいないときに子どもがパソコンを触っても良いようにOSの環境作りをするこができます。
【メール】
まず、子どもにメールをさせたいかどうか。また、HPを閲覧していて、クリックしただけでメールが知らずに送られる場合もあります。
ユーザー設定をしてる場合、メールを使わせたくない場合は、デスクトップからアイコンを削除したり、メールのソフトが起動しないように制限をかけます。もっと単純に、メールアカウントを設定しないだけでメールを送ることはできませんから、いらないメールアカウントやメールアドレスは設定しないことです。
親は自分のメールアカウントやパスワードを子どもの目に付くところに放置しないことも注意しましょう。知らない間にそれを使って子どもがメールをするかも知れません。善悪の判断はなく興味本位でやってしまいます。
また、自分でフリーメールを利用するかも知れません。これについては、ブラウザでのそれらサイトの閲覧を制限するしかないでしょう。メールの使用をさせないことで、ウイルス感染の危険性が大きく下がります。メールを使わせる場合、ウイルスメールやスパムメールについての指導も欠かせません。また、メールのフィルタリングをすることで、特定のメールだけを受信できるようにしてあげることも重要です。
【ブラウザ】
ブラウザを使わせながら制限を加えるというのは非常に難しいことです。
まず、見せたくないサイトへのアクセスを制限すること。これが親としては一番の課題ではないでしょうか。ブラウザにもこれを助けるためのいくつかの機能が用意されています。レイティングを設定することで、暴力や性描写のあるページ(レイティングされたサイト)を表示させないこと。特定のサイトを指定することで、見ても良いサイトや見ては行けないサイトを決めることもできます。ただ、ブラウザの設定では子どもが簡単に変更できてしまうのが欠点です。
それを補うために専用のURLフィルタリングのソフトがあります。これら製品にはあらかじめ、見せたくないサイトのリスト(ブラックリスト)や見ても良いサイトのリスト(ホワイトリスト)が用意されています。これに基づいてアクセス先のURLを比較してブラウザでの閲覧を制限することができるものです。最大の利点は親がそのリストを作る必要がないことです。また、ネットで自動的にリストを更新することができるものもあります。
このように行き先を制限することで、その先にある危険性を回避するということです。あるサイトへ行ってしまうと、次にはその内容に応じて制限する必要があります。そこで次には、キーワードによるフィルタリングを行います。有害な単語や言葉をキーワードとして、表示しようとしているページを調べて、該当するキーワードが含まれている場合にそのページを表示させない仕組みです。参考:インターネット協会−フィルタリング情報ページ
HPでフォーム機能を使うことで、クリックするだけでメールが送られる機能があって、これはメールソフトを介さない場合があります。ブラウザにメールアドレスを記録していたり、送信フォームにメールアドレスを入力することで、相手にこちらのメールアドレスが送られるというものです。他人のメールアドレスを使わないように指導することが重要です。本人には決して届かないメールですが、誰かが迷惑を被ります。
【その他】
現在ではインターネットはどこでも誰でも利用できます。携帯電話でさえできる訳ですから、そういったものも同時に制限しないことには、興味本位を止めることはできないでしょう。頭から禁止とするのではなく、何がどのように危険なのかをしっかりと親が説明して、危険性の認識を共有することも重要です。
(お待ち下さい)
【ユーザー設定】
【URLフィルタリング】
【レイティングの設定】
【メールのフィルタリング】
(お待ち下さい)
(2004.6.13筆/2004.6.19加筆)
新しい技術やサービスが追加されたとき、また新しいセキュリティ問題が発生します。まずは、基本的なセキュリティの考え方を子どもたちに教えることが重要で、そこから先は彼らが自分で考えて判断できるようにならなければ、全ての行動を大人が把握しなければならなくなります。そんな不自由なことはお互いにやりたくないものです。
家庭だけでなく学校での教育も必要でしょう。親がセキュリティやネットの技術について勉強することも大変ですし、それを子どもに分かりやすく説明するのも、やはり教育のプロがやるほうが良いに決まっています。ただ、学校にネットのセキュリティ専門家が等しくいるわけでもありません。
当面は民間の協力も得ながら、情報教育(パソコンの授業)にセキュリティを組み入れて、小中学校から学習に取り組んで欲しいものです。【実例:我が家の娘(3才)の場合】
自分の子どもが、現在どこまでインターネットの仕組みやソフトウェアの使い方を理解しているかを知ることも大事でしょう。
我が家の3才の娘でさえ、自分でネットサーフィンを楽しんでいます。ホームページにYahooキッズを設定していますので、そこからクリックして好きなホームページへ行っています。今はまだ一度見たページにしか興味がないようです。知らないサイトへ行くことを嫌がります。
広告に表示されるURLを見て「ホームページだ」と言いますので、それがホームページを指していることは認識しているようです。しかし、それをアドレスバーに入力するもものだとは知りません。ブラウザの使い方はクリック、スクロール、戻るくらいしか知らないからです。
また、ひらがなカタカナは読めるものの、言葉の意味をまだまだ理解していないため、ブラウザのフィルタリングなどは設定していません。
そうそう、OSのユーザー設定は行っていて、最初にパスワードを入力して、娘は自分の設定でOSを動かしています。娘の設定には娘の好きな壁紙を用意してやることで、他人が使っていればそれと分かりますから、一旦ログアウトしてから自分の設定を選び直させます。とはいえ、私の使っているままでブラウザを使うことがあるので、どうやらブックマークからYahoo Japanへ行き、キッズを選んで、それからやっているようです。
もちろん、メールの設定はしてありませんし、使用できないようにしてあります。デスクトップにはブラウザの他は絵を描くソフトくらいしかありません。
今後は子どもの年齢と成長に応じた対処が必要になってきますので、早めに色々と準備をして行きたいと考えています。
毎日新聞:情報モラル:ネット上での行動決める4基準(2007/4/6)
(記事抜粋)
松田助教授らは「子供たちに判断基準を教えれば、ネット上で遭遇する問題に対処できるようになる」と考えている。近藤教諭は、生徒たちに(1)違法性がないか(2)他人に迷惑をかけないか(3)自分に危害が及ばないか(4)技術的な問題点はないか----の4つの基準を挙げて、(1)から順番に考えることを指示。毎日新聞:ネットと子供:個人情報 書き込みすぎる中学生−−ネット環境調査(2007/8/1)
(記事抜粋)
掲示板に「死ね」「うざい」などと書かれたり、自分の名前を使って嘘の内容を書かれた−−など、1割がネットでいじめられた経験があった。自分の個人情報を書かれた(1割)、写真を掲示板に載せられた(2%)などもあった。さらに、ネットいじめを身近で見聞きしたことがある中学生は4割。中3女子が最も多く、6割を超えた。ITmedia:「ケータイを甘く見るな」 “最強のおもちゃ”が子どもの脅威に(2007/8/28)
(記事抜粋)
「携帯電話は子どもにとって“うちでのこづち”。子どもは携帯を通じてお小遣いを手に入れ、食事をおごってもらい、家まで送ってくれる人を見つけ、アダルトグッズを買っている」――子どものネット利用を研究している群馬大学社会情報学部大学院の下田博次教授は、携帯サイトが子どもの健全育成の脅威になっている、と警告を鳴らす。ITmedia:ケータイ利用の中高生、6割が「振り回されている」(2007/9/12)
(記事抜粋)
自分だけメールが来ない「メール無視」をされたことがある中高生は22%、悪口をメールで回された経験があるのは12%。「ケータイに振り回されている」と思ったことがある中高生は59%いた。ITmedia:米国でネットいじめが拡大、「武器で対抗」も(2007/11/29)
(記事抜粋)
オンラインでいじめに遭っていると答えた年少者の64%は、過去に面と向かって攻撃されたことはなかったことが明らかになった。
「特に気掛かりなのは、インターネットで嫌がらせに遭っている年少者が、過去30日間に武器を持って登校したと回答した割合が、ほかの年少者の8倍に上っていたことだ」